菱垣廻船(ひがきかいせん)
江戸時代
江戸ー大坂間を往来した廻船。船体に菱組みの格子を組んだ装飾をつけたことから、「菱垣」廻船と呼ばれ、最盛期には160隻ほどが就航していました。大坂から江戸へ木綿や醤油・油・酒・酢・紙などの日用品を運びました。
本資料は国学者の黒川真頼が所蔵していたと伝えられています。また、旗印には丸に「通」の印が描かれており、この旗が何を意味ずるのかは明らかにしませんが、海上の番所を通行する際に通行許可の証として掲げたのではないかという説があります。
江戸時代に幕府が整備した陸上の交通制度は、宿継ぎを前提としており生産や流通の発達に対応した大量輸送には不向きでした。そこではるかに大量の輸送が可能な、海や川を利用した水上輸送が盛んに用いられました。